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U-18日本代表始動
朝早くから、神宮球場の隣のグラウンドには声が響いていた。
おはようございます!
代表のキャップを被った強面の関本 監督に向かって一糸乱れぬ挨拶をする。その中には智裕もいる。
「えー、今日の練習終了後に土日の試合の先発メンバーを発表する。この試合には多くのプロ野球球団関係者、記者、独立リーグ社会人野球、大学野球の関係者が多く視察に訪れる。1年も2年も出ることによって将来に繋がる可能性は充分だから、一層練習に励むように!以上!」
はいっ!
選手たちは真っ直ぐと関本を見ていたが、内心は誰もが誰かを気にしていた。
勿論、智裕も晃も。
(絶対先発してやる……八良先輩を超えるんだ!)
(ハチローさんも、松田も俺が女房役したるんや!)
散り散りにポジションごとに分かれてそれぞれのコーチの元に向かう。智裕は八良たちと一緒にブルペンに入る。
すれ違いざま、八良は智裕にしか聞こえないように呟いた。
「トモちん、エースは俺やからな。」
その意思の強さ、以前の智裕なら恐怖に震えていただろうが、今の智裕はその言葉でさらに燃えた。
(そのエースを超えますから、俺は。)
口角を上げて、一歩踏み出した。そんな2人のエースを由比は微笑んで見届ける。
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