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第1話 事件

1、事件 土曜日、朝から竜也さんとジェイさんと江ノ島の堤防に釣りに出かけていた僕は音量を下げていたスマフォが着信しているのを昼過ぎに知った。 10回近くも昼前後に草太から着信があった。 慌てて折り返すと、 「 雄介が、雄介がいなくなった!」 電話口で悲痛な叫ぶ声が聞こえてくる、近くにいた竜也さんにも聞こえたらしく真剣な顔で僕を見る。 「 いつから?」 「 朝からだ、朝お袋の家から戻ってくる途中、お袋が近所の人と話してるあいだに居なくなった 。 近くを探したが見つからない 馳、どうしたら……」 「 ちょっと待てよ、どんな格好して何を持ってたの?」 「 保育園のバッグを持ってる。 朝着替えたはずだから、なにを着てるかはお袋に聞かないと…… 明日は馳に会えるからって話そうと思ってたのに、毎晩、馳って言いながら泣くんだ……だから」 「 草太、しっかりしろよ!今からそっちへ行くから 」 僕は通話を切ると手短に竜也さんに事柄を伝える。 わかったと頷く竜也さんは首をかしげると、 「 こっちに来ようとしたんじゃないのか?」 「 え?だってまだあんなに小さいのに 」 「 でも前はよく電車で送って行ってたんだろ? 電車の駅は覚えてるんじゃないのかな 」 「 そんな、事 」 「 いや、子どもって案外覚えてるよ、大切なことは 。 直ぐ駅に行こう、どっかで迷子になってるかもしれない 」 僕らは釣り道具をジェイさんに預けると走って駅に向かった。 無事でいて、、雄介どうか無事で!

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