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第1話 僕は、"325" -1-
四回目の誕生日の翌日、僕は目が覚めた時、ぎゅうぎゅうとした温かな圧迫感の中に居た。
驚いて周りを見ると、僕と同じ年頃・容姿のオス犬達……二十人が大きな籠の中に毛布に包まれてスピョスヨ眠っていた。
ニオイから彼らが家族ではないのが分かった。
それそれのニオイを纏った別々な存在。
「キャン!」
僕は声を上げて、モゾモゾ動いた。
すると隣りの子が起き、声を上げ、それでまた隣りが……となり、結果全員でキャンキャンもぞもぞ籠の中でじゃれ合いが始まり、籠から外に落ちた子はギャンギャン鳴き始めた。
すると今度は大きな人間が数人現れ、僕達を別な明るい場所に連れて行ってくれた。
明るい場所……部屋で彼らは……
『ここは"犬人の公園"と呼ばれる、主に身分の高い人が"癒し"を求めて利用する特別な所』
『僕達は親から託され、見合った物を渡して公園に集めた事』
『これからはここで何不自由無く生活する事』
『僕達は犬の獣人だと言う事』
そして、
『"人間"を咬まないで、絶対に従順である事』
を、何度も言い、「嫌な事をされたら私達に話して。話す前に破ったらたくさん痛い罰を与えて、ここから出さないといけない」と悲しそうに言ってきた。
そして何だか良く分からないまま僕達は頷いて約束し、ミルクや食べ物を貰い、四足でコロコロ動き始めた。
それと同時に、僕達は元の名前を捨てて個々の識別として『番号』をつけられた。
僕は『325 』。
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