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第2話 僕は、"325" -2-

そうして二年経ち、人間の言う事が聞け、彼らの言葉に慣れて動きが滑らかになった頃、四足の犬状態で綺麗な人間の子供達と遊ばされた。 遊ぶ上で僕達は彼らと同じ格好……"人"の形をまねっこする様になった。 ただし、服は着ずに全裸で頭には犬耳とお尻には尻尾。 そして人懐っこく子供にたくさん触られても人型が安定していると思われる子から、公園を管理している人に奥の方に連れて行かれた。 中には子供に望まれて服を着せられて手を繋いで公園を出て行く仲間も居たけど、それは六人くらいだった。 それから僕もなんとかだいぶ人型に慣れ、たくさんの子供達に囲まれ遊んでいた二年目のある日、急に公園の人に「ミニコは明日から奥の公園に行くから、今日でここは"バイバイ"ね」と言われた。 僕は良く分からなかったけど、遊んでいたみんなに笑顔で「バイバイ」と手を振った。 公園の人は僕の頭を撫でながら「良い子だね」と大きな手で頭を優しく撫でてくれた。 そして僕は生クリームがたっぷり使われたロールケーキを齧りながら、奥の……綺麗だけど高い鉄柵で囲まれた公園に連れて行かれ、『調教師』と呼ばれる人達と暮らすことになった。 この時、僕はこの公園に来て四年……人間と獣人は同じ年の数え方をする。 だから、僕は今は八歳だ。 容姿は小さな三角耳は今は前にへにょんと折れてて、お尻の小さな尻尾は上向きでくるんと巻かれている。 獣毛は一般的な茶色。犬種は『豆シバ』……と言われたかな? 犬の時は子供達に抱っこされてぬいぐるみの様に扱われた。 ……抱っこが気持ち良くて、僕……人型になるのに多くが一年目でなるのに、二年も掛かっちゃった。 だけど、子供達も管理の人もたっぷり僕を可愛がってくれたんだよ。 ここの……『調教師』と言う人達も、僕の事を可愛がってくれるかな? 僕は柵を潜って見えた白い大きな建物を見て、ロールケーキの最後の一欠けらを口に入れ、ペロリと上唇を舌でなぞった。

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