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第7話

祥馬は俺の腕を引き、教室の中へ入り、後方へと進んで行った。 2年になってからまだ席替えをしていないこのクラスは出席番号の席順になっていて、俺(神代)と祥馬(久城)は前後の席だ。 藤白佑嗣(ふじしろ ゆうし)は窓側の一番前の席で、廊下側から二列目の一番後ろの席の俺たちとは反対側になっている。 佑嗣は呆れたように溜息を吐き、自分の席へと向かって行った。 俺と佑嗣は小さい頃からの幼馴染みで、物心がつく頃には既に一緒にいた。祥馬と出会ったのは中学だった。 一年の時に同じクラスになり、席が前後になった祥馬と一番に仲良くなり、必然的に祥馬は佑嗣とも仲良くなった。 それから俺たち3人は仲が良い。 俺は祥馬のことが好きだと自覚してから、何人かの女の子と付き合ったこともある。 でも、そんなに長くは続かなくて、決まって俺が振られるんだけど、みんな"私は瑛翔のことが好きだけど、瑛翔は私のこと好きじゃないでしょ"と言って去って行った。 確かに、好きになる努力とか、そういうのは一切しなかった。 だって、 俺が好きなのは、祥馬だから。 「なぁー瑛翔俺の話聞いてる?」 「え?あ、ごめん。何も聞いてなかった」 「はっ…いっそ清々しいな。ムカつくけど」 「ごめんごめん。で、何?」 「いやー、澪央が可愛いって話。昨日あの後家まで送って行ったんだけどさー」 聞きたくもない惚気が始まった。 見て分かる。ベタ惚れだなと。 でも、聞きたくないなんて言えるわけもなくて、ちょっと天然っぽいとか、ドジした話とか、桐崎さんの話を、担任が来るまで延々とされた。

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