94 / 260
第94話
「どうして…」
「ん?」
「どうして、こんなことするの?」
俺を見下ろす祥馬の視線はとても冷めている。
こんな目を向けられたこと、好きだと言ってしまうまで今までに一度もなかった。
最近はずっと、こんな視線を向けられている。
「祥馬のことが好きな俺が気持ち悪いなら、無視してよ。いない者として扱ってくれればいいのに。わざわざ関わる理由はなに?」
「お前と佑嗣がキスなんて…」
「関係ないでしょ。どうして、佑嗣はダメなんて言ったの?大体、鷹来くんと居ても祥馬は酷いことを言ってきてたでしょ」
「うるせぇな。お前今の状況分かってんのかよ」
「いたっ…」
首の傷を爪を立てて抉られる。
ビリビリと痛む。
少しでも時間を稼ぎたい。
多分、さっきの電話で、佑嗣は何かに気づいた、はず。
あとは、
「そんなこと言って、時間でも稼いでるつもりか?」
「っ!」
バレてる。
「佑嗣は来ない」
「やっ、あっ…ぅ…ん」
衣装の上から強弱つけて撫でられる。
小さく反応していたそこは、段々と熱くなってくる。
「ははっ、誰が、カッコイイ瑛翔が、こんな可愛い声出すって想像出来るんだろうな?」
「っん、ふざけっ、」
睨みつけるも、そんなものは全く効果がない。
そして祥馬はもう片方の手で俺の顎を掴んで、くいっと持ち上げた。
「祥、馬……」
ともだちにシェアしよう!