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第94話

「どうして…」 「ん?」 「どうして、こんなことするの?」 俺を見下ろす祥馬の視線はとても冷めている。 こんな目を向けられたこと、好きだと言ってしまうまで今までに一度もなかった。 最近はずっと、こんな視線を向けられている。 「祥馬のことが好きな俺が気持ち悪いなら、無視してよ。いない者として扱ってくれればいいのに。わざわざ関わる理由はなに?」 「お前と佑嗣がキスなんて…」 「関係ないでしょ。どうして、佑嗣はダメなんて言ったの?大体、鷹来くんと居ても祥馬は酷いことを言ってきてたでしょ」 「うるせぇな。お前今の状況分かってんのかよ」 「いたっ…」 首の傷を爪を立てて抉られる。 ビリビリと痛む。 少しでも時間を稼ぎたい。 多分、さっきの電話で、佑嗣は何かに気づいた、はず。 あとは、 「そんなこと言って、時間でも稼いでるつもりか?」 「っ!」 バレてる。 「佑嗣は来ない」 「やっ、あっ…ぅ…ん」 衣装の上から強弱つけて撫でられる。 小さく反応していたそこは、段々と熱くなってくる。 「ははっ、誰が、カッコイイ瑛翔が、こんな可愛い声出すって想像出来るんだろうな?」 「っん、ふざけっ、」 睨みつけるも、そんなものは全く効果がない。 そして祥馬はもう片方の手で俺の顎を掴んで、くいっと持ち上げた。 「祥、馬……」

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