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第203話
俺は鷹来くんとちゃんと目を合わせながら話し出した。
「…昨日は、佑嗣と帰ったんだけど、佑嗣とは家の前で分かれて、それで…部屋に入ったら、祥馬がいた」
鷹来くんは目を丸くした。
「この部屋に?」
「中学の時、よく家に来てたから、母さんとも顔見知りで、俺がまだ帰って来てなかったから、母さんが部屋にあげたみたい…」
その先を話すのが怖い。
「それで?」
それでも、鷹来くんは先を聞く。
「何された?」
鷹来くんの手が俺の手に触れた。
「…っなにも、されてない…」
俺の様子を読み取ったのか、鷹来くんは眉間に皺を寄せた。
「じゃあ、何言われた?」
「っ…」
佑嗣といい、鷹来くんといい、勘が鋭い。
俺は思わず目を伏せる。
「教えて?」
「…わ、忘れて欲しくなかった、幸せそうに笑う俺が許せなくて、俺たちの関係を壊したくなったって。俺の相手が女の子だったら良かったのにって思ったって…っ。桐、崎さんと、別れる…って……俺のことが、っ好きだって…っ」
全然纏まってない、バラバラの言葉がこぼれていく。
「神代」
俺を呼ぶ声が、酷く優しくて、それが逆に怖かった。
そして、まっすぐに俺を見つめる目と目が合った。
「俺と」
触れていた手が離れた。
「別れよっか」
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