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第6話 水鏡
僕は泉を見た。
そう、泉を見たのだ。
でも……。
「…な…に……!?」
泉は、まるで鏡のように…夜の星を写してきらめいていた。
「…あっ……なに…が……?」
僕は目の前に起きていることが信じられない。
だって……だって……。
さっきまでは綺麗な泉だったんだ。
なのに……なんで……!?
「…あ……あぁ…………!」
…逃げなきゃ……!
これは、何かが危ない気がする……!
ここに居ちゃいけない……!
怖い……怖い……!
……逃げなきゃ!!
そう思って踵を返し、走った。
「わぁっ!」
でも、すぐに足がもつれて転んでしまう。
「…いやっ……動いて……!」
自分の体に命じるも、強ばってしまって動かない。
怖い…なに…?
…わからない…わからない!
いよいよ頭の中がぐちゃぐちゃになってなにも考えられなくなった時だった。
「そこで何をしている」
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