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第1話

「なぁ、明日、海行かん?」 タケが言った。 だから、つい、ウッカリ 叶わない夢を見た。 久し振りに引っ張り出してみた水泳部のブーメランは、さすがに――ナイやろ? ちゅうことで。 一応、新しい海パンを買ってみた。 最近流行りの普通の短パンと区別つかんみたいな、迷彩柄。 ―無難過ぎ、やろか? そんで 健全な男子が海で肌に塗るモンいうたら… 何やろなぁ? タケは色白やから、いきなり日焼けすると、赤く腫れてツラいらしい。 そのくせ、焼けるまでは無頓着で、ひどい事になった後から、慌ててケアする、というんが毎度のパターン。 まあ、俺用にサンオイルにしといて、帰りにどっかで、アロエかヘチマの化粧水でも買って、タケとシェアしよ。 うん、そないしよ。 ようやく向かったレジで 「試供品です」 思わぬモノを貰った。 『あなたと共に、限界へ挑む!うす○す』 何の限界かはさておき 俺の羞恥心が、色んな意味でギリギリなんは間違いなかった。

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