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「つーかさ、月野のおにーさん……口では嫌だとかって言っておきながら、ここは素直じゃん。じゃあ、おにーさんだけに……とっておきのマッサージをしてあげようかなぁ。まあ、そんなのするの初めてだけどね」
「ま、待て……っ……!!いったい……何の話だ……き、きみは……俺にナニをしようと……って___ああっ……んっ……」
これ以上、月野の奴が面倒くさいことを言わないように俺はズボンのチャックのからブルンッと飛び出したビクビクと脈打つ赤黒いペニスをアイスクリームを咥えるかのようにして頬張るとそのまま吸い付いた。歯を立てると確実に怒られるだろう、と危惧した俺は注意しながら熱心にしゃぶる。
「ん……っ……ふっ……んむっ……」
月野のペニスは思ったよりも大きくて、何せ初めてフェラという行為をしたため、えづきながらも舌を動かしながら大人のマッサージをしてやった。
「んっ……い、いく…………いっちゃう……っ____ああっ」
ビュクッ____
ビュルルッ____
月野が勢いよくペニスから白濁液を吹き出して荒い肩呼吸をしながら恍惚そうな表情を見てから、口元が奴の白濁液にまみれ、それをペロリと赤い舌で舐め上げた後に何とも言い様のない優越感に襲われた俺はニヤリと微笑むとそのまま白濁に汚れてしまった体と口元を洗うために大理石に囲まれた豪華な風呂へ向かおうと歩み始める。
もちろん、先程まで人形のように無表情でつまらなかった姿から今は快楽という欲望に支配された別人のようになった月野を引き連れてだ____。
*
まったく、思いがけない邪魔が入ってしまった。
俺が月野の奴を半ば強引に風呂場へと連れて行こうとしている最中に俺のスマホが震え出したのだ。
マネキンのように無表情で冷静な月野をからかえる状況なため、本音をいえばその着信を無視したかった。しかし、ついいつもの癖でディスプレイを確認してしまう。
すると____、
《マネージャー ケイタイ 》
とディスプレイに表示されていることに気付いて、仕方なくスマホを手に取って対応した。
「あ、もしもし……日野さん?うん、今……ホテルにいるよ……うん、大丈夫だって。えっ……明日の握手会込みのサイン会について……うん、うん………」
マネージャーの日野との会話を何となく聞かれたくなかった俺は突っ立ったままの月野から少し離れることにした。
そして、マネージャーとの会話を終えた時には既に月野はその場からいなくなっていた。
いつの間にか出て行ったらしい____。
「なんか、ムカつく…………勝手にいなくなるなんて……」
アイドルらしからぬ独りごとを呟いてしまったものの、よくよく考えてみれば奴は仕事中だったのを思い出して「それも仕方ないことか」と無理やり自分を納得させた。
それでも、得たいの知れぬモヤモヤ感を抱きつつ、ふいにテーブルの上に視線を落とした時にある物を見つけた。
《後日、ちゃんと注文通り薔薇の造花を届けに行く。それまで、これで我慢してくれ……あと今回の件は此方の不手際だ。よって、名刺を置いていく……何かあればここに連絡くれ》
急いで書いたと思われる、崩れた文字で書いたメモ書きと【サンフラワー・ルゥ】の連絡先がプリントされた名刺――それに添えられるようにして一輪の向日葵の花が置かれているのだ。
そのことに満足した俺は、テーブルに置かれた一輪の向日葵の花と名刺をカバンの中に仕舞うと先程のモヤモヤした気分が嘘みたいな晴れ晴れとした気持ちでホテルから出て行くのだった。
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