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第1話 平凡な日常
市内で北側に位置する高台の上に、その高校は建っていた。
比較的自由な校風の公立高校で、戦前からの歴史を持っており、有名人も何名か輩出していた。
全校生徒約1,200名で、男女の比率もほぼ同等。
部活動も盛んで、サッカーとテニス部はまぁまぁ強い。
バスケ部とサッカー部にイケメンが集まるのは、定番で。
周辺の学校はブレザーになる中、学ランと女子のセーラーが良いという理由から、いつも受験は倍率がほどほど高い。
そんな学校に何処にでもいると思われる平凡な高校生・日生優太(ひなせ ゆうた)は通っていた。
平凡に相応しく、少し鈍臭く、人の良い性格をしていた。
なので、これも定番。
教師から宿題のノート集めを言いつけられていた学級委員女子から『重たくて運べないからお願~い♪』と強引に頼まれ(これで3回目)、か細い作りの優太は若干フラつきながら宿題のノートを届けた。
その職員室で会った体育教師に、午後からの体育の準備を頼まれ何とも運の悪いとしか言いようが無い。
そんな日常の優太。
なので、準備の為にお弁当も食べる暇さえ少なく急いで掻き込む。
小さめ弁当は、優太でも比較的早く食べ終えられるのだ。
毎日の優太を見て大半のクラスメイトからは、鈍臭いヤツだな~と内心笑われていたりする。
そんな優太にも友達は居る。
それは同じクラスの同じタイプのポッチャリ男子の大田君。
大田も性格は良いので優太を助けたいとは思っているのだが、優太同様にちょっと鈍臭いので自分の事で手一杯なのだ。
大食いではあるが、早食いではない太田。
困っている優太を見ても助けることは、なかなか出来ない。
優太を手伝っていれば、大田はご飯を食べ損ねてしまう。
それに、大田は動きもゆっくりなので却って時間がかかってしまう。
それならば、優太がひとりで動いた方がまだ早いのだ。
「日生、ごめん」と、お弁当を鈍臭く食べながら頭を下げる大田に優太は眉を垂らして首を振った。
「いいよ、いいよ。オレ行ってくるから」
優太は昼食を何とか終えると、まだ食べている大田を教室に残して、体育の準備の為に体育館横の倉庫へと向かうことにした。
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