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第25話 写真撮影禁止です

頭に響く甲高い悲鳴に、優太が眉間に皺を寄せてそちらを見ると女子が数人。 優太と甘凱の二人を指差している。 「やだーッ!甘凱くんが、お姫さま抱っこしてる~!!」 「ウソッ?!男子じゃん!!」 「ヤダヤダ~!写メ、写メ」 などと、大騒ぎ。 そして驚くほどの早業で、写メを撮り始めた。 同じく慌てたのは優太で、声を掛けて制止するが全く女子には伝わらない。 近くに居た眞鍋は「あらまぁ、素敵な写真が撮れたかしら?」なんて呑気に傍観している。 どうにもならないと優太は両手で顔を隠した。 すると、甘凱が優太の顔を自分の胸元に押し込める。 「お前ら、やめろ!…ったく、相手は病人。体調悪くてこれから保健室。騒ぐなよな」 甘凱の鶴の一声で、女子は「分かったわよ~」「ごめんねぇ」と、しおらしく謝っている。 「じゃ、またね~」 「今度、例のヤツ誘ってね」 「これ、甘凱くんにも送っといてあげるね」 女子が各々好き勝手言いながら、廊下を横切っていった。 「いらねぇし」 女子の群れが過ぎ去ると、甘凱は呆れた声で呟いた。 「…」 もう顔を上げてもいいだろうか? 優太が様子を伺うと、元々あまり人通りの少ない場所なだけに、数人がチラチラこちらを見ては通り過ぎて行った。 「クソッ。お前のせいでとんだ迷惑だ。仲が良いとか勘違いされたら最悪だ」 「うっ。ご、ごめん…」 「…チッ」 舌打ちされて益々恐縮する優太を抱いたまま、甘凱は眞鍋の後ろから、保健室へと向かった。

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