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第34話 無抵抗の平凡
優太はこの状況に混乱していた。
とりあえず顎を掴む指から逃げようとするも、甘凱がそれを許さない。
益々力を込められて、涙が滲む。
「い…っ、うぐっ」
口を動かすことさえ出来ず、そして甘凱の鋭い視線から目を離すことさえ出来ない。
「どうした?平凡。もう抵抗しねぇの?」
まるで首輪を付けられて抵抗を許されない犬の様に思いながら、優太はなんとか足掻く。
急に一体どうしたのか?
優しくはないが、こんな怖い男では無かったはずだ。
なのに、いきなりのこの仕打ち。
顎に痛みが増していく。
ついでにいうと、床に膝をつく形になってしまい足も痛い。
とうとう廊下の壁に後頭部を固定され、顎は甘凱に捕らえられたままの姿勢で優太は抵抗を止めた。
苦しくて痛くて、何よりも怖くて涙がとうとう流れてしまう。
「うっ、うっ、ううーっ」
そして情けなくも高校二年生だというのに、同級生の突然の暴挙によって、泣いてしまった。
顎を捕まれた状態では声を上げて泣くことも許されない。
そんな優太を甘凱はジッと観察していた。
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