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第6話 大人のキス

  謎が深まるばかりだけれども、聞いていいかもわからず、先輩の腕の中で幸せを感じていた。  先輩の胸の中はほっこりしていて、まるで『わたあめ』みたいな気分を味わえてなんだか僕までふわふわしちゃう。 「どうしたと? にやにや笑っとるき。何か俺が変な事したっすか?」 「違います! 幸せを噛み締めてるんですぅ。先輩の胸に抱かれるなんて幸せ過ぎて。僕どうにかなっちゃいそうです!(にへら~)」  普段の僕とは違うような気がする。恋って人を変えるっていうけどまさにそれ!“  僕は天国にいるような気分で先輩にしがみつき、もう一度キスしようとすると、拒まれる。それだけで僕はどん底に堕ちた気分だった。でもここはポーカーフェイスを……。 「何泣きそうな顔しとるけ? キスは俺がするんよ。大人のキスしてもよかと?」  僕の泣きそうな顔がまたもバレてドキドキです。でも大人のキスしたい! 僕はコクコクと先輩の胸の中で埋まって頷いた。すると顎を持たれ先輩の顔が近づいてくる……。 「ンッ、はふ、ふぇあ、んぐ……んちゅ、ちゅるり……せんぱぁ――んん!」 「可愛い顔だ。俺のモノっすね。離さないとよ。いつまでもこのままで居たいんじゃが、もう二時限目が終わるチャイムがなったと。戻らなくてもいいんか?」 「あ、どうしよう、先輩いるかな? って授業抜け出してきたんですけど、いてよかったです。僕、ちゃんと大人のキスできてました?」  僕は不安に駆られるけれども、先輩の笑顔に悩殺。貴方の下僕で、忠実な奴隷な僕はやっぱり先輩の胸にスリスリしちゃって、離れたくなくて、すっぽりと包まれていた。 「可愛くそんなすり寄ってくるんじゃなかと。襲いたくなるじゃけぇ」 「え、足腰立たなくなっちゃうやつ?」 「直接的にいうんじゃなかと。恥ずかしいじゃろ」  顔を少し赤らめそっぽを向く先輩のほっぺにキスをすると僕は、徐(おもむ)ろに自分のブレザーの黒い上着を丁寧に脱ぎ、シャツのボタンを一つ、一つと外そうとしていると先輩の大きな手が阻んでくる。 「先輩は欲しくないのですか? 僕は先輩が欲しいです!」 「心の準備ができてなかとよ。こういうのはすぐやるのはなんか違うと思うっす。その綺麗な肌を見せつけられると欲情してしまうとよ! こりゃ、外すんやない! お前という奴は全く予想のつかないことをするけ。ハラハラするぞい」 (すぐ抱いてほしかったなぁ。でも先輩困らせるのはよくない)  しゅんとうなだれる僕を見た先輩はおでこにキスを落としてくれる。それだけで僕の心はドキドキ!

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