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第5話 僕の想い!
「!?」
そこにいたのは誰でもない、黒井先輩だった。結んでいた髪を解いて風になびかせてる。こちらに気づく様子もないので、僕はひっそりと近づくことにした。
飴の意味も知りたいし。
「大丈夫かと?」
「え!? 気づいていたのですか!?」
僕はびっくりした。驚かそうと思っていたのもあったし、何より『大丈夫かと?』と言ってくれたことに感動していた。
「ここは不良が来る場所じゃけ、あんまり来ん方がええぞ?」
ふと、僕は思ったことを口にしてみた。疑問だし、モヤモヤするし……。
「先輩は葉桜先生が好きなんですか?」
「あいつは鬼ババァじゃ。俺になんでもまかせてきよる。怖い女じゃ」
(え、どういう事!? 一緒に住んでいるの?)
僕の恋は早くも散りそう。
散り際にこの際言ってしまえとばかりに、僕は涙を流しながら言ってしまった。
「黒井先輩ずっとずっと僕、先輩のこと好き好きでたまらなくて、その、瞳を釘付けにしたいって思ってました。僕だけのものになってください。お願いします!」
僕の決死の覚悟は如何に……。すると、
キョトンとして、周りを見渡す先輩。
「黒井は俺しかいないとよ。ここには。何か悩んでいるんか? 愛の告白の練習の相手になるのも大変じゃき。相手を選ぶとよかとよ」
僕の精一杯の気持ちをなかったことにされてしまって、涙がこぼれていた。
思わず、黒井先輩に抱きついて泣いていると、
「何故泣くと? 俺、悪いこといったか? なん、俺の胸で泣いとると? まさか……怖かっ
たっすか?」
「黒井鞠(まり)先輩に告白したのに……僕の僕の気持ちをなか、ったぅぅ……ぅぅ……」
「泣き虫は男じゃなかとよ。勘違いしてしまって悪かったっす。気持ちは嬉し――むぐ」
僕はそれ以上聞きたくないとばかりに、口で先輩の言葉を塞いでしまった。
気づいたらキスじゃないかと思い。僕は逃げようとしたんだけど、黒井先輩に抱きすくまれて、大人のキスをしている。
(なんで!? 先輩の舌柔らかい。しかもホロ苦……)
涙はいつの間にか止まり、今度は僕じゃなくて先輩が泣いている。
「どうして泣いてしまったんですか? そんなに僕のキスいやでしたか? でも途中からん、んん……ふぁ、れるまたキス。せんぱぁい?」
「一世一代の告白じゃ、よく聞くんっすよ。俺も白木侑汰というやつが好きじゃぁ。俺でもええんか? って聞こうとしたやけど、お前さんが口を塞ぐモノだから告白できなかったとよ」
僕は静かに泣き始めてしまった。だって、だって、願いが叶っちゃったんだから。黒井先輩が好きって! 本当に好きって言ってくれてる。それだけで僕は幸せになってしまう。
びっくりしたのかと思ったのか、先輩が舌で涙を拭ってくれるのもすごく萌える。
先輩には敵わないや。僕。
それにしても葉桜先生のことを鬼ババァとは?
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