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プロローグ

「ちょ、ちょっと待って下さい」 慌てて口をガードしようとした手のひらは、すらっとした大きな手によって簡単に引き剥がされてしまった。 「一旦落ち着きませんか…!」 だいたい何だよこの体勢は。 ソファーに自分が押し倒されている。  多い被さるようにして 今、俺の片手をホールドしているのは紛れもなく俺の憧れの人で。 「しーっ、静かに」 なんて、台詞のような一言を 目の前で、しかも俺の大好きな声で言われてしまっては流石に力が抜けてしまう。 一瞬ぼーっとしたすきに 口の中になま温かい柔らかな感触を覚えた。 「ちょっ………んんっ…」 あまりに戸惑って息も上手く吸えない俺をみて くすりと笑うとその人は 片手で俺の両手を頭の上でまとめて、抵抗できなくなったところで シャツのボタンを外し始めた。 「言って欲しい台詞あるなら、何でも言いますよ?」 悪戯そうに言う姿も何だか色っぽい。 思考が完全停止してどこか遠くを見つめる俺は都内のブラック企業で働く普通の27歳である。 何でこんな状況になっているかというと、話は少し前にさかのぼる。

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