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第2話

人とぶつかって手に持っていた音楽プレーヤーを落としてしまった。 まずい、それ大事な音源いっぱい入ってるのに。 急いで拾い上げようとすると バキッと足元で何かが割れるような音がして 手を伸ばした頃には知らない誰かの靴によって無惨に壊れてしまったプレーヤーの姿があった。 うわ…  あり得ないんだけど… それは最悪な一日の始まりで  でも最高の人生の始まりでもあった。 これでもかというくらい不機嫌な顔をしていたに違いない。 落としてしまったのは自分とはいえ足で踏みつぶされて壊されるなど何とも許し難い行為。 かと言って壊した相手を呼び止めて文句を言う度胸もない。 プレーヤー二号。 出たばかりの給料で買った。 中にはお気に入りのCDが沢山入っている。 あぁ、なんで残業帰りの、しかも日曜の夜にこんな目に遭わないといけないのか。 つくづくついてなさすぎる。 はぁ、と一週間分の溜息をついて画面の液晶もすっかり粉々のプレーヤーを手に立ち上がると 横にひとりの男性が立っていた。 「ごめんなさい。大丈夫ですか……?」 自分より身長の高いすらっとしたその男性は どこか聴き馴染みのある優しい声をしていた。

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