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第7話

しばらく時間が経過すると 自分が何を考えているのかもよくわからなくなってどうでもよくなった。 部屋にCDや本を並べておく棚がある。 中でも清水時春関連のCDがおいてある棚を神棚と勝手に名付けている。 集め出してからそんなに年数は経っていないはずなのに もう20枚くらいあるだろうか。 遠かったはずの存在が目の前に現れると酷く驚いてしまうものだ。   そういえば一昨日届いていた新作をまだ聴いていなかった。 プレーヤーに入れなきゃ…… やっとの事で気づく。 音楽プレーヤー……持って帰ってくるの忘れた。 あのとき清水時春が持ってたんだった。 まぁバキバキだったし、使い物にもならないか。 新しいの来月の給料で買おう。 上京してからこっちに友達は少ない。 職場ではなるべく人と関わらないようにひっそりと仕事をしている。 昔から人と関わることに関しては凄く苦手で、所謂コミュ障に違いない。 数少ない東京の友達の中に 声優のファンはいないこともないが女性声優のファンで、 男性声優ファンは残念ながらいない。 職場での昼休みは新作のCDをプレーヤーで聴いていたりする。 コンビニのサンドイッチ片手のついニヤニヤしてしまう。 男がこんなの聴いて悦ぶのはおかしいのだろうか、うーん。 必死で堪えているつもりだが 職場の若い女性社員達の間で俺がキモヲタと呼ばれていることは随分前から知っている。 ボロアパート暮らしで 声優関連以外に特に趣味もなく お洒落なんて言葉からは、程遠い生活をおくっているものだから彼女なんてもうずっといない。 別に欲しいとも思わないけど。 清水時春出演のシチュエーションCD最新作は、『眠れないあなたを寝かせるCD』 所謂、添い寝CDというやつだ。 ダミーヘッドマイクで録音されているため すぐそこに本人がいるように聞こえる。 何ともありがたい。 ご馳走様です…!! 清水時春の声は、どちらかというと低めの優しい声だ。 王子様の声とか似合いそう、だと思う。 しかし、アニメにでる際には役に応じて高い声からめちゃくちゃ低音まで出せるから驚いてしまう。 ファンをやっているのにたまに聞き分けられない時がある。

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