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ラストタイム・ラバーズ 22
「いいね、最高だ。それじゃあ今日はペアリングを買いに行こう」
「うん!」
予定さえ決まればシブタニの行動は素早い。
元気な下半身が落ち着くのを待って、 彼は出かける準備を始めた。
僕はというと、その後ろで雲間から覗く眩しい光の柱を眺めていた。
この光景はショールームに映し出される人口天空でも、よく見たなあとぼんやり思う。
閉鎖的な空間でありながら、ラバーズと人間の出会いを運命的に彩ってくれる、ロマンティックな空模様だった。
最近覚えたこと。
本物の美しさを知ると、偽物の美しさに気がつくこと。
本物も偽物も、どちらもそれぞれ美しいということ。
「イブ、行くよ!」
「はあい」
大好きな人が玄関口から読んでいる。
浮き足立った気持ちのまま元気よく返事をして、僕は部屋を飛び出した。
おわり
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