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第1話

♠ 「今日からここがお前の家だ」  そう言った、ぼくよりもずっと背が高い彼は、庭付きのとてつもなく大きな屋敷を顎で示した。  ぼくはアーヴィンド。  18歳。  いつも家の中でジッとしているから、身体は細く、色白。  これといって何の特徴もない黒い目に、黒い髪をした、身長150センチのチビ。  そして隣にいる彼の名前はリュシアン。  青みを帯びた黒髪に、ダークグレーの鋭い鷹のような目。  細身だけど、がっちりとした肩幅。  たぶん、年齢はぼくよりも12歳は年上なんじゃないかな。  ものすごく落ち着いているから、そう思う。  彼はこの街で、とてつもなく大きな屋敷を持つ大富豪として有名だ。  そして、無口で無愛想だということも......。  対するぼくは、とても貧しい生活を送っていた。 『今』という『今』までは、だけど......。  そんな立場が違いすぎる彼とぼくがなぜ、こうして一緒に住むことになったのかというと......。  ぼくの両親は小さい頃に亡くなり、ぼくは物心ついた頃から、路上でしがない絵を描いて生活していたんだ。  ぼくが描いた絵は、展示会で出展すると、いつも知らないうちに売れていて、そのお金でなんとか生計を立てていたんだけれど、風邪をこじらせて寝込んでしまって、絵が描けなくなったんだ。  ぼくが寝込んでいる間、借金が溜まりに溜まって、キャンバスや絵の具を買うお金すらも無くなってしまった頃。  借金の取り立てがやって来て、人買いに売られる寸前、彼が居合わせ、借金の肩代わりをしてくれた。

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