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第10話 *

【大好きなチハヤ】 写真の裏側のスミに、小さく書かれた桂の文字が、頭の中でぐるぐる回っていた。 これは・・・友達っていう意味で、だよな。 そう自分に言い聞かせる。 でも、・・・・・いつ書いたんだろう。 俺に渡してくれと言われて今まで持っていたけど、もしも俺に渡す機会があったら・・・・。 いろいろ想像したら、自然と口に手が伸びる。 片手で口を塞ぐように覆うと、そのまま指を降ろして唇に持って行く。 下唇を指の腹でなぞると、またあの日の記憶が・・・・・ いけないと分かっている。 こんなのは・・・・アイツを汚す事だって。 でも・・・・・、俺の指が勝手に口の中をまさぐる。 自分の舌の柔らかさに興奮して、もう一方の手が下に伸びると・・・・・・。 ベッドに背を預けて自分の指を舌で味わった。 そうして、下に這わせた手で自分を慰める。 あれ以来、俺のおかずが自分の指、とか・・・・・・。 恥ずかしくて誰にも言えないけど、グラビアアイドルを見ても何の反応も示さないんだ。 ただただ、あの日の桂の指を思い出してはこんな風に慰めるばかり。 やっぱり俺はおかしい。 そう思いながらも、ヌチヌチと音をたてて扱く手が早まると、指を入れた口からは熱い吐息が洩れた。 はぁ...................ぁ.............あ、 頭の中が真っ白になって、太ももの筋肉が痙攣し出す。 俺の全神経は、自分の舌とはち切れそうな俺のものに注がれ、周りが見えなくなると、最高潮に昇りつめた。 イキそうになって、口から指を離すともう片方の手に添える。 あ、........ ぁんっ、...........んんっ、 飛び散るしぶきを片手で受け止め、ベッドに頭を乗せたまましばらくの間天井を仰いだ。 - っは、はは・・・・・・どうしよ、ヤベぇ。 今日は、天井に桂の顔が浮かんでる・・・・・・・。 ベッドサイドに手を伸ばしてティッシュペーパーを掴むと、手の中の証を拭い取る。 - 今日だけ、・・・・・今日だけだから。 自分に言い聞かせながら洗面所へ行くと、手を洗ってから顔も洗った。 目の前の、鏡に映った自分の顔を見る。 少し癖のある前髪が、水を滴らせて顎まで伸びている。 切るのが面倒で、伸ばしっぱなしの髪。 その髪の間から、今まで見た事のない自分の顔が見える。 鏡に映る自分の瞳が、憂いを帯びて赤くなっているのが分かった。 これが、俺の性癖なのか・・・・・? 洗面台の淵に手を掛けると、俺はガックリと肩を落とした。

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