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第46話

 お互いの顔を横目で見るように話すと、また俯く俺たち。 「今日はクリスマスだろ。何処か行かないのか?デートとか・・・・」 桂はうつむいたまま俺に言った。 「・・・行かない。・・・・・店の手伝いしてたんだ。」 「へぇ、・・・前に、・・・・・・・・・前に車に乗せてもらってただろ?!アレ、誰なんだ?」 「え?!・・・・・」 桂が俺の方に顔を向けると聞いてくる。 どうしてここで天野さんの事が? まあ、目撃されたのは一度じゃないし、不思議に思うのかもな。 歳も離れているし、俺なんかと友達には見えないか・・・。 「あの、有楽街に入る手前の大通りに面した美容院のオーナーだよ。うちのお客さんで。」 一応、本当の事だし言っておく。 「ふうん・・・、なんで朝車に乗ってたの?送ってもらったみたいだったけど。」 「・・・うん、まあ。」 「千早さぁ、昔オレが言った事覚えてる?前も聞いたかも、だけど。」 「・・・ホモ、っての?!・・・」 俺は心なしか桂に背を向けて聞いた。 目を合わせて聞く勇気が無くて、はぐらかすにはウソがバレそうで・・・。 「気を悪くするかもしれないけど、二回目に見た時、なんか・・・・・千早、変だった。ひょっとして、あの人と付き合ってんのかって思ったんだ・・・・・。」 「・・・・・・・・・・」 言葉が出て来ない。 桂の洞察力っていうのか、勘が鋭いっていうのか・・・・・。 「オレは人に言ったりしないから、ウソはつかなくていい。・・・付き合ってんだろ?!」 尚も桂はしつこくて・・・。 「そんなの聞いてどうするんだよ。何でもないよ、お客さんだし・・・。俺、そろそろ帰るな、もう面会時間終わるだろ?!」 そういうと、椅子に掛けたバッグを肩にかける。 「じゃあ、お大事に。」 椅子を仕舞って部屋から出ようとした。 でも、一瞬足が止まってしまった。 「ウソ、・・・・ついてんのお前の方じゃん。」 「は?」 桂が聞き返す。 「彼女とキスしたとか、その先も、とか・・・。ウソじゃん。」 口から出した言葉に、自分で驚いた。どうしてこんな話をしてしまったんだろう。 いうつもりはなかったのに・・・。 「・・・・・なんで?!千早、貴理の事知ってんのか?」 多分桂は焦っていると思う。 顔は見れないけど、声が上擦っている。 「友達経由で知り合ったけど・・・、別に親しいわけじゃない。」 「中島 杏、か・・・・。あの子、お前に告った?」 「・・・・・うん、まあな。でも俺は断ったけど。」 「やっぱりか・・・・・。あの娘なら言っちゃうかもな。貴理と別れても意味なかったか・・・。」 桂の言い方に違和感を覚えた。 彼女と別れたのが中島さんのせいみたいで。 「桂?!・・・どういう事?お前が彼女と別れたのと、俺と中島さんの事は関係ないだろ。」 「・・・あるよ。」 「え?」 「だって、お前を紹介してくれっていうんだ。それで4人で遊びに行こうって・・・。そんなのイヤだし。」 「は?!・・・なんで、お前がイヤとか言うんだよ。俺が決める事だろ。」 「・・・・千早が、・・・・・」 そこまで言うと、桂は急に黙り込んだ。

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