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第96話 *
浴槽に張った湯は、荒波の様に揺れると波しぶきとなり、俺と桂の間でぶつかり合った。
ん............っ
ピッタリと身体を寄せ合うと、互いに唇を貪り合い、濡れた背中を長い指が這う。
浴槽からは、胸から上が出ているが、冷えた肩も気にならない程、俺たちは熱く燃え上がり互いの臀部をぐっと引き寄せ合った。
熱くいきり勃つモノを互いの腹で擦り合えば、益々鼻息は荒く、唇はもう這う場所がないくらい顔や首すじに吸い付いている。
「か、つら.....も、ぅ......ダメ.....」
泣きを入れたのは俺の方で、触ってほしいのに狭くて腕が自由にならない。
「はぁ、......もうギブアップ?.........早いな........」
余裕の口調で、桂が俺の目を覗き込んだ。
その瞳の奥はすごく挑発的な色で。
まるで俺の心と身体を弄んでいるようだった。
「かつら....お願い......もう、一回イっていい?.....」
「.......仕方ないな.......、その淵に手、ついて。」
「え?.....風呂の淵っ......て、」
聞いた傍から腰を掴まれると、俺は浴槽の淵に腰掛けるように座らされ、大きく膝を割ると桂はそこに顔を埋めた。
「おッ・・・・・オイッ・・・・!!!」
慌てる俺の膝を閉じない様にすると、下から太ももを掴むようにして引き寄せる。
俺は、不安定な薄い浴槽の淵を掴むのがやっとで、気を抜けばつるりと滑ってしまいそうになった。
「か、つら.........ぁ、」
それだけ言うと、声を出すのも辛くなるほど背中がゾクッと震え、鼻から抜けた息は甘い吐息に変わる。
桂は、敏感な先端部分を舌先で味わうと、そのまま一気に咥内へと咥え込む。桂の口の中で、どんどん熱くされた俺は、今にも爆発しそうなのを必死で堪えた。
じゅっ、....じゅぽッ......
湿った浴室に淫猥な音が響き渡ると、もうこれ以上は堪えられなくて・・・・。
ひあッ........ああぁ.......ッ
腹の筋肉がビクンと痙攣しながら震え、思い切り顎を引くと真下に桂の頭が見えたが、一瞬覗いた喉仏は上下に動いた。
- また飲んだな、・・・・・・・?!
はぁ、......はぁ.......
息を整えると、桂は立ち上がって俺の顎を掴んだ。
それからキスをすると、自分の手の中で大きく張り詰めたモノを扱いて解放する。
それは、俺の頬を掠めてドクドク飛び散ると、桂の指を伝って俺の胸にもかかってしまった。
ぁ、......
はぁ、........はぁ.......
荒い息を吐きながら、桂は俺の腿に手を乗せる。
「のぼせそうッ、っていうか、のぼせた!」
俺は、声をあげると浴槽から身体を出し、洗い場のシャワーの栓を捻った。
頭から冷たい水を浴びると、ブルブルッと髪を揺さぶり今度は熱いお湯で身体を洗う。
その間も、桂は浴槽の淵に手を突いたまま、じっと俺の姿を眺めていた。
「先にあがるッ。髪の毛乾かしてくれるよな?!」
「おぅ、・・・・分かった。」
頭にバスタオルを巻き付けると、俺は身体を拭いてそのまま部屋へと移動した。
桂が来たのはそれからすぐ後の事で。
俺の髪を乾かすって言ったのに..........
結局、もう一度風呂へ入る事になってしまう。
一度灯が点いた俺たちは、この先の会えない時間を埋めるように、また肌を重ね合う。
そして、口には出せない想いをぶつけ合うように、その晩は何度も燃えあがってしまった。
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