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第35話

「えーと、最近食事の匂いがすると吐き気がしますか。他に症状は?」 、 、 、。 ただ今、産婦人科にて郷ちゃんは診察中です。 私は待合室にて待っているのですが、女性ばかりで些か肩身が狭く感じています。 ただ、周囲の女性たちの視線が「奥様に付き添って優しい旦那様ね」的な物なのが救いです。 ただ私の同伴者は男性です。 しかもかなり大柄の。 診察室から、郷ちゃんが暗い顔して出て参りました。 ササッと速歩きでかけよります。 まさか、本当に妊娠していたのでしょうか? 支払いを済ませ郷ちゃんと私は病院を後にし、タクシーで私のマンションに移動しました。 その間も郷ちゃんは無言です。 私は郷ちゃんが話すまで、じっと待ちます。 「、、あの、あのな、、想像妊娠だった、、。」 顔を真っ赤に涙目で語られる衝撃の事実に、私は肩からヘナヘナと力が抜けてしまいました。 当然と言えば当然の事実です。 肉体が女性的になっても、女性になるわけではないのです。 しかし郷ちゃんは想像妊娠する程、私の子を欲しているのです。 未だ、私への恋心に自覚の無いままにです。 ああ、なんとお可愛らしいのでしょう。 「そ、想像妊娠する程、私の子を欲して下さったのですね。」 妊娠しなかった(出来ない)のは残念ですが、本当に愛しくて堪りません。 「それでだな、想像妊娠の症状は自覚してすぐ治るってものでもないらしい。自覚が治るキッカケにはなるらしいんだが。」 「それは、まだ暫く悪阻が続くという事でしょうか?」 「それもだが、最近は胸も張っているんだ、実は。医師は想像妊娠で乳腺が発達したと、、。」 「な!?そ、それは母乳が出るかもしれないって事で合っていますか?」 郷ちゃんは顔を真っ赤にして俯きました。 チクニーの影響恐るべし。 深刻な話ですが、私のジミーさんが、、、ゲフンゲフンッ 母乳楽し、、、いえ、心配で堪りません。

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