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おまけ:うら
「――――――やっと、手に入れた」
泣き疲れて、車の助手席に座って眠っている海星の頬を、謙紫は起こさないように優しく撫でた。
一目惚れだったのだ。ショッピングモールで、不安そうにしている海星の姿を見た瞬間から。
最初は、普通の位置にいる女性だと思っていた。そしたらどういうわけか、好きになった女性は男性で。それでも、何一つ嫌悪感は沸かなかった。
むしろ、もっと知りたいと思うようになったのだ。
交換した連絡先で、部下にいろいろと調べさせた。そして盗撮もさせて写真を集めたりもした。とにかく、男とか女とか関係なしに好きになっていたのだ。海星のことを。
「これから、いっぱい君のことを幸せにしてあげるよ、海星」
前髪をかきあげて、そっとキスを落とす。そして、海星が起きていないことを確認するとスマホを取り出しどこかに電話を掛けた。
「……もしもし、江東か。見原太陽の件はどうなっている。俺の大切な人を脅したんだ。それ相応の罰を。そして、見原太陽の家族にも罰を与えないとな、」
そう言った謙紫の表情は、まるで悪魔のようだった。しかし、眠っている海星はそれに気づくことはなかった。
おまけ、END
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