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第12話

夢を見た。瑛人に振られた日の夢。 悲しくて泣きながら起きたら、葉月の家だった。 葉月は心配そうに俺を見て涙を拭う。 「瑛人って元彼?」 寝言で言っちゃったのか。 「そう。情けねーだろ。 男のくせにこんなに泣いたりして。」 そっと涙を拭う。 一体、いつになったら忘れられるんだ。 思い出すだけで、まだ胸が痛い。 「泣きたい時に泣いたらいい。 時々、羽目をはずしたり暴言吐いたり、きっと時間が流してくれる。」 そんな風に言ってくれるなんて…… 「……俺、別れ話された時に、 『どうして?』『嫌だ。』『別れたくない。』、何も言えなかったんだ。」 「そっか……」 そっと抱きしめられた。 「大丈夫。いつか忘れられるよ。」 優しい声が響く。 俺の頭を撫でる手がやけに優しくて、余計涙が止まらなかった。 手の早い葉月がその日は何もしてこなかった。 いつもなら休みの日は朝からHな事ばかりしてくるのに。 …………本当は優しい奴なのかもしれない。 一緒に買い物行って飯を作って、ゲームをしたり映画のDVDを見る。 まるで普通の友達か恋人みたいに……

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