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多分、中学生の時からだと思う。
色々嫌なことがあって、誰かに話したところでおさまらなくて、なんとなく、イトコのおさがりのMDプレイヤーを持って、イヤホンを耳に入れて、お気に入りの音楽をかけて、真夜中に家を抜け出していた。
家のすぐ裏にある山の上には小さくて古ぼけた神社がある。光が灯るのは大晦日だけで春と夏は雑草が伸び放題。参拝客なぞ普段はいなくて、夕方は不良の中高生がタバコを吸いにやって来るような、そんな場所。
だから真夜中は誰もいない。そして此処より高いものがないから空に遮るものがなくて、言わば天然のプラネタリウム。夜空が、星が、ヒカリが、1番近い場所。
俺だけの“秘密の場所”。
夜空の下で、音楽を聴きながら天 を見上げて、時折深呼吸をして、心を穏やかにする。
でも、高2の夏休みに、その場所は俺だけのものでは無くなっていた。
イヤホンから流れるのは、藍坊主の「瞼の裏には」という曲。人目もないので大声で歌いながら朽ちそうな鳥居をくぐった。
古ぼけた社 の前に、背の高い影、俺はそれの5mくらい手前で気が付いた。
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