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 バカみたいに声が大きかったのだろうか、その影は俺に顔を向けた。  只、月明かりしかないのに、その頬に涙が伝って溢れていることがわかった。  キラキラ、ハラハラ、生温い夜風が木々を揺らして、やたら五月蝿(うるさ)い。 「(なん)して()(よん)?」  何故か俺の方が(たず)ねられた。それはこっちのセリフなんだけども。 「散歩、()ている(よぉ)だけ…。」  何でか律儀に答えてしまう。そして3秒で気がついた。俺は領域(テリトリー)を侵されたのだ。 「……お前、穴井(あない)(サツキ)だろ(やろ)?」 「何で知ってる(ちょん)?」 「うる(しゃあ)さい(しい)から(けん)。」 「はぁ⁉︎」 「さっき()歌も、(なん)なん?」  ザッ ザッ  一歩一歩、近づかれて、距離が近くなって気がつく、影の正体。 「……宮川(みやかわ)?」  同じクラスだけど、ほとんど会話をしたことのない、宮川颯斗(ハヤト)だった。  

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