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俺は25時になるのを待った。コンポに古いヘッドホンを接続して、聴いていたのは宮川に貸す事が出来なかったELLEGARDENのアルバムCD。
あの日は、宮川は来ないかもしれないってなんとなしに予想したことを思い出した。
そして今日は、夜空がとても綺麗だったから、宮川が泣きに行く気がした。
宮川はこの町にいるのかさえわからない。なのに何故そんな予感がするのだろうか。
でも俺は、どうしても、会いたい。話したい。君が泣くなら、笑って欲しい。
10年経って、大人になって、この気持ちを理解することが出来た。
「遅すぎだ ろ……。」
あの時に、気づいて、君の手を強引にでも掴まえていたなら、君と俺の未来は変わっていたのだろうか。
俺はその答えが知りたくなった。
だから、あの場所に足を運ぶ。夜風にあたって、虫の声や雑草の音を聞きながら。
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