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「此処ってこ んな に 、星が綺麗だ っ た ん だ な 。」
「今気付く?」
「上向いたこと無かったか ら 。」
「勿体無っ。10年前の 方がもっと綺麗だ ったし。」
「へー。」
「あの辺が“夏の大三角形”だ ろ?そんで…あれ、ほら、有名なやつ!」
「何 だ ったっけ?」
「宮川、お前高校教師じゃ ねーの ?」
「国語だ か ら 知らな い 。」
「言い訳になって な い し。」
夜空がこんなにも近い場所で、君がやっと笑って星を見てくれた。
そして冷たかった手は温かくなった。
熱を持った俺がしっかりと握っているからだろうか、それとも、君が泣かなくなったからだろうか。
「穴井。」
「ん?」
「明日からは何 もなくても 此処に来ても いい?」
「……当たり前だ ろ 。」
夜空が近いこの場所は、あの日から“俺たちの場所”になっていたから。
end.
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