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 その刹那、月と星が俺たちだけを照らすスポットライトになった気がした。  ハッキリと見える、端整な宮川の顔。頬に伝う宮川の涙。「助けて」とあの夕刻と同じように叫んでいる。 「宮川、ごめん。俺、お前()()()好き。」  頬に添えた俺の手を宮川は両手で受け止めた。 「気付く()遅くて、ごめん。」  涙が出てくる綺麗な瞳に(まぶた)が下りた。 「もう、此処で泣かない()で、宮川。」  顔を上に向けて、俺は宮川の震える綺麗な唇に、そっと触れた。  触れた瞬間、夜なのに熱い風が吹いた。  その熱さは自然なのか、それとも俺か宮川か。  宮川に触れている俺の手はジワリと汗をかいた。

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