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01.

「どうして君が、こんな僕なんかと……」  あいつ――神埼鷹博の口癖だ。  言われるたびに遠野優は一瞬言葉を詰まらせ、言い返したい衝動に駆られるが、めずらしく我慢をする。フォローをするべきか考えるが、うまい言葉が浮かばないため黙っているだけだ。そのうちに鷹博のほうから拙い、ふれるだけのキスをされる。  もう何回も、そんなことばかりやっている。  神埼鷹博はいわゆる優等生だ。  現代の高校生にしてはめずらしく真っ黒な髪で、メガネをしている。さらには誰もやりたがらなかったクラス委員長だし、制服だってきちんと着用していて、典型的な優等生の姿をしている。運動はあまり得意ではないらしいが、もちろん勉強はできる。  鷹博とは一年の時に同じクラスだったが、絶対に関わることのない人種だと思っていた。まわりにいる友達の種類も全然違うし、同じクラスだからといって口をきくことのない男だと思っていた。同じ学校に通っているのが不思議なくらいだった。  なにしろ優はヤンチャな友達が多く、優自身も授業をサボることがほとんどだし、放課後から夜遅くまで、遊んでいたりする。特別悪いことはしないけれどどうやら目立つらしく、ケンカを売られることは多い。カッとなる性格なのでつい買ってしまうが、身長も低く、決して強いわけではないので、格好悪い話だが、友達に助けられる、もしくはぎりぎりのところで逃げていた。  そんな二人がつき合っているなんて、きっと誰も思わないし信じないだろう。  自分でもよくわからないが、一年の終わり頃、優は鷹博とつき合うことになった。自分とまったく違う種類の人間だから惹かれたのか、どうしてかわからないが、一ついえることは、「なんかよくわからないけど好きだ」ということだった。  だからこそ頭がいい鷹博には理解ができないのだろう。優も説明をすることができないから、いつもあんなことを言うのだ。  優としては「こっちのセリフだ」と常に思っている。  頭がいい優等生のくせして、こんなヤンキー(と言うには弱いが)を好きになったりして意味がわからない。  でも先に言われたほうが負けだ。  優はフォローをしなければいけないところだが、恋愛というものになれていないのでなんと 伝えたらいいかわからない。  ただ好きになっただけだ。

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