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諸行無常・い
◇いろはにほへとちりぬるを◇
もうすぐ終わりを迎えようとしている夏の日射しに、僕は目を眩ます。ぽっかりとあいたままの心がソコにあって、例えようがない虚しさを纏わせていた。
ジーセンセンセンと鳴く熊蝉が飛ぶ。パタリとその声が聞こえなくなると、今度はジージージーと油蝉が鳴き始めた。
そして、午後の空気が微風とともに流れ込んでくる。昊は高く、爽快な海の色をしていた。
駆け渡る海猫が鳶をみて、その高い昊に舞いあがっている。山と海に挟まれたこの町は都会とは駆け離れた殺風景なモノだった。
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