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盲目の白い花 5

次の日の朝、シスターに許可を貰ったと伝えると子供たちは皆喜んでくれた。 僕も嬉しいけれど、暫く会えなくなると思うとやっぱり寂しい。 子供たちも同じ気持ちなのか、その日から僕の部屋に来る回数が増えた。 物語を聞かせて欲しいとねだったり、抱っこをせがんできたり、表情は見えないけれど、声が少し寂しそうで…僕も精一杯子供たちのお願いに答えた。 シスターの知り合いにお城に務めている人がいるらしく、話を通しておくと言われ素直にその言葉に甘えることにする。 シスターからの許可は貰えたけど、そもそもお城の人に目の見えない世話係が許可されるのか…。 不安になったが、数日後に荷物をまとめて城に来て欲しいと報せが届いてほっと胸をなでおろす。 早速少ない荷物を鞄に詰めて、孤児院を出る準備をした。 こうして荷物を詰めると、本当にこの場所を出るのだと実感が湧いてくる。 子供たちとお使いに出掛けることはあっても一人で、しかもお城に行くだなんて… 少し前の僕なら考えもしなかっただろう。 シスターと話し合って、孤児院を出るのは三日後になった。 お城から迎えの馬車が来てくれるらしい。 「レリス…本当にお城に行くんだね…」 「また帰ってくる?」 「私、寂しい…」 孤児院を出る実感があったのは僕だけではない。 子供たちも僕が居なくなるのだと実感したらしく、今にも泣きそうな声に僕も泣いてしまいそうになる。 「きっとまた帰ってきます。竜を元気にしたら、お土産を沢山持ってここに帰ってきますから」 「本当…?」 「もちろんです。約束します」 僕は必死に涙をこらえて笑顔を見せる。 すると、服の裾をツンツンッと引っ張られ、小さな声で可愛いお願いが聞こえた。 「っ…レリス…ぎゅってして…」 「ぼ、僕も!」 「私も!!」 「では、順番に。僕も皆とぎゅーってしたいですから」 子供たち一人一人を強く抱きしめる。 目の見えない僕を受け入れ、慕ってくれるこの子達にどれだけ救われただろう。 堪えられずに涙が一粒…頬を伝っていく。 「皆のこと…大好きですよっ…シスターの言うことをちゃんと聞いて、元気でいて下さいね…っ」 「私もレリス大好きっ…」 「待ってるからね、約束だよ…!」 その日は皆でたくさん泣いて…夜遅くまで話をした。 もし…万が一約束を守れずに帰ってこられない時のために…。 皆の心にきちんと思い出が残るように…。 僕も、子供たちの声を耳に焼き付けるように一人一人の声に集中した。

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