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Ⅱ 奪い愛、夏②
全ては狂言
俺を海におびき出すため競パン野郎二人が結託した狂言に、まんまと騙されたのだ。
通りで、あの紙~
『童貞包茎ちんこ』(←桐生先輩 著)
『早漏包茎ちんこ』(←縣 真守 著)
俺を借り物に仕立て上げるために、二人で書いた紙を交換までして。
かぶって当然だ。
ほほ…ほ~けぃ!ムカッ
どこから漏洩した?なんで俺のプライベートゾーン知ってんだっ。個人情報の保護求む!
……一応…先っぽ見えてるから。仮性だもん♠
あーもうっ、思い出したら腹立ってきた。
もうもう💢
買い出しから戻って来たら仕返ししてやる!
腹は減っても戦はできる!
腰抜かせ、エロ競パン共!
「おまたせ」
「大盛りだぞ」
よしよし。何も知らずに帰ってきたな、エロ競パン
「先輩、縣。この浜辺……」
「どうした?」
「なんだ?」
「昔、処刑場だったんだ」
「鎌倉時代の話だろ」
「可哀想にな」
反応薄ッ
先輩知ってるし。
縣、棒読みかっ
全然ビビらない~
「じゃ、行くか」
えっ、ちょっと。
焼きそば半分も食べてないんだけど。
「どこ行くんだ?」
「あそこ」
二人が同時に指差したのは……
納涼!お化け屋敷
「橋本も行きたかったんだな」
「早く言ってくれよ」
ちがーう!
俺はお前達をビビらせたかっただけで。
……どちらかっつーと怖いのは苦手だ。
ズルズルズル~
先輩に肩を抱かれて。
縣に腰を抱かれて。
連行される俺
俺の意志はァッ
「俺達、明日ビーチバレー大会だから」
「えっ?」
「海の日ビーチバレー大会に先輩と一緒にエントリーしてて、今日しか時間なくって」
「えっ?」
「ありがとな、橋本」
「ありがとう、京太」
それで二人。俺を強引に連れ出したのか。
「優勝商品は天然かき氷だ」
「俺達の商品は京太にプレゼントだよ」
「ほんとっ」
天然かき氷って、口の中でふわっと溶けるんだよ。舌触りが柔らかくて全然違うそうだ。食べるの楽しみー♪
競パン野郎共、絶対優勝だ!
心はすっかりかき氷♪
胃袋を掴まれた俺
プレゼントなんて、いいとこあるな。
今朝の不法侵入・その他諸々は水に流そう。
……ん?
俺も競パンはく必要あったのか?
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