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Ⅱ 奪い愛、夏③
「ギャー」
ヒィー、お菊さんが皿割ってる~
隣でフランケンシュタインが雷浴びてる~
魑魅魍魎 人外の異世界
和か洋かまるで分からんが、本格的だ。本格的なお化け屋敷だーッ
「ムギャー」
「手繋いであげよっか」
「俺の左手空いてるぞ」
いい!男の威信に賭けて、競パン野郎の手は借りん。
大の男が競パン男二人に手を繋がれてるなんて、情けなさ過ぎる。
「ヒィィ」
足元なにか当たったー!
恐る恐る視線を下ろすと……小さな男の子だった。
ご家族とはぐれたのかな?
声を掛けようとしたけれど、会釈して走り去ってしまった。会えるといいな。早く家族見つけろよー。
「ごめん。縣、先輩」
声が返らない。
「縣?先輩?」
声が聞こえない。
うそっ!
まさか、俺……
迷子になったー!!
縣と先輩を探そう。
二人も俺を探している筈だ。
「わッ」
尻餅ついた刹那、視界が暗転した。
ガタン
硬質の音が鈍く響いて……
開かない!
転ぶ寸前に見たのは、卒塔婆 ゾーンの吸血鬼の棺桶だ。
俺ッ、棺桶に閉じ込められたー!
「助けて」
ドンドンドンッ
「縣ッ、先輩ッ」
ドンドンドンッ
「ここだー!」
「キャー」
悲鳴を上げて駆け去っていくお客さん
俺、お化けじゃないー!!
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