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第15話
遠くで蝉の声が聞こえてくる。
またあの日の事を思い出して後悔をして、はるちゃんに会いたいと願ってしまう。
ゆっくりと目が覚めていくと腕の中で誰かが寝ている。
あの日失くしてしまった愛おしい温もりが腕の中にあるんだ。
俺は、はるちゃんの前髪に優しく唇をあてた。
「か・・・かぐちゃん?」
「ごめん、起こしたか?」
「大丈夫だよ」
まだ俺の腕の中で眠そうに微笑む愛おしい人。
俺がはるちゃんの唇に自分の唇を重ねると蝉が一斉に鳴き始めた。
蝉の鳴き声が聞こえるがこの温もりも笑顔もあの日とは違う。
唇がはるちゃんから離れると鳴いていた蝉達も鳴くのをやめる。
あの日はビックリしてはるちゃんを突き飛ばしてしまったが今はこうして腕の中で俺を見て微笑んでいる。
「だいすきだよ。かぐちゃん」
「おれもすきだ。だいすきだ。はるちゃん」
あの日、伝えれなかった想いをこれからはたくさん伝えれる。
ずっと側にいろよはるちゃん。
これから離れていた時間をゆっくりと2人で手に入れていこうなはるちゃん。
愛してるよ。
ずっとこれからもずっと愛し続けるよ。
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