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12-1 その後のあれやこれ

 俺の中で、子は順調に育った。流れやすいと聞いていたがそんな事もなく、安定した状態で7ヶ月後、無事に産まれてくれた。  思ったよりも楽なお産に、俺も安堵した。考えれば獣人だって産まれる時は大きい。それに加えて俺は獣人の中でも体が大きいから、産むのにそれほどの苦労はなかった。  産まれた息子はアンテロと名付け、順調に育っている。  あれだけ険悪だった緑竜の王は、俺が子を授かったと聞いて態度を一変させ、土下座しそうな勢いで頭を下げに来た。  俺はその時にはもうどうでも良かったんだが、ランセルの方がそうじゃなかったらしい。実の親を足蹴にしようとしたのは、流石に止めた。  何にしても可愛い孫に牙を抜かれ、今ではすっかり好々爺のようだ。  俺とランセルも相変わらずだ。  俺は産後1ヶ月を過ぎると体力訓練を開始し、3ヶ月後には軍に復帰した。鬼教官は相変わらずだ。  ついでに国務も忙しくなったランセルのサポートとして、軍の運営にも多少首を突っ込むようになった。  現在、俺は教会にいる。それというのも今日、ランセルの友人であるユーリスの結婚式がある。  ユーリスは黒龍王家の王子で、ランセルの友人だ。  普段は冒険者をしていて、産まれたアンテロを何かと可愛がってくれていた。子供が好きらしく、面倒な事も嫌な顔もせずしてくれる姿は正に父親の鑑だろう。  それに対してランセルはのほほんとしたものだ。お前がやれ。  そんな男が異世界人で人族の伴侶を連れて国に戻ってきたのは、数ヶ月前の事だった。  その青年はマコトと言って、とても素直で気持ちのいい人物だ。まぁ、少し素直すぎて危なっかしくも思えるが、そこを含めて人を柔らかくする。  安産スキルを持つマコトが子を産んだのが1ヶ月前。産まれてから会いに行った俺とアンテロに、マコトは最初から親しげに接してきた。  多少驚きはしたが、何か納得もした。ユーリスの伴侶というなら、納得だ。あいつにきつい性格の伴侶は想像ができないからな。  子育てなど経験のないマコトに、俺はアンテロの時の苦労を色々と話した。当然、幸せな事もだが。  マコトはそれらを真剣に聞き、受け止めている。生真面目なのだろう彼が顔を青くしたり赤くしたりするのを見る俺も、あっという間に彼を好きになった。  そんな二人が、初々しい誓いの言葉を口にして指輪を交換する。それを見る俺は、多少複雑だ。

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