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溶けたアイス
「うっ、牛尾!?」
「……なぁ、今晩すげえ暑いじゃん。エアコン壊れてるし」
「あ、うん」
また牛尾の汗が鹿住の肌に滴り落ちる。
「逆に汗かいちゃった方がスッキリすると思わねぇ?」
「えっ……あ~。うん?」
「後で一緒にシャワー浴びような?」
ニヤっと悪い笑みを見せて、牛尾は鹿住のTシャツを問答無用で脱がせた。
ぐちゅぐちゅと粘膜が擦り合わさる湿った音と、パンッパンッと肉と肉がぶつかり合う生々しいセックスの音が響く。
「あっあっあっ、ダメっ……こんなのぉ!」
鹿住は四つん這いになり、上半身をローテーブルに預けて、背後から牛尾に貫かれていた。
結局、牛尾のテクニックに流されて、鹿住は男の挿入を許してしまった。初めてだというのに、気持ちよくてたまらない。
「あっ!ぁあ……ヤバ……うし、お……俺、こんな……きも、ち……いい、アッ!」
「俺も、すげーいい……かすみ……!」
汗でドロドロの体とは裏腹に妙に冷静な頭で「ああ、俺たちはセックスしているんだ」と、二人は実感していた。
「あぁっ、あああ! やぁッ……!」
体位を変えて対面座位で抱き合えば、汗まみれの牛尾の逞しい腹と鹿住の白い腹が離れては密着し、ネチネチと音を立てる。
「はっ……マジでエロい……」
牛尾はぎゅっと鹿住を抱きしめた。もうどちらのものか分からないくらいに滴り落ちる汗が、床に小さな水溜まりを作った。
「あ……ん、むぅ……」
激しく貪り合う口付けに、飲み込みきれない唾液が顎を伝う。汗と唾液が混じり合い、余計に興奮した。
「……俺ら、ぐっちゃぐちゃだ。かすみ」
「んぅ……言うな。恥ずかしい」
牛尾は繋がったまな鹿住を抱え上げ、ソファの上に鹿住の背を下ろした。
「わっ、ちょ、おま……あ! アッアッアッ! 」
牛尾は鹿住の両脚を担ぎ、真上から抜き差しをした。奥の奥まで突き進む。
鹿住はどうにか肩で体を支えるような体位で串刺しにされ、逃げ場の無い快楽に声もなく戦慄いた。
「かすみ……すげぇエロい。くそかわいい……っ」
鹿住は牛尾の逞しい腹を震える指先で撫でる。
腰を打ち付ける度にうねる筋肉がいやらしい。男というより雄だ。そして自分は牛尾に雌にされてしまった。
背徳的な快楽に鹿住はゾクゾクと震えた。その振動が鹿住の胎内から牛尾の男根に伝わる。
「!! ……かすみッ!」
「アッアッ! あぁあああ───!!」
牛尾は鹿住を強く抱きしめて、いっそう激しく腰を打ち付けた。あまりの激しさに鹿住は壊れてしまうかと思った。
けれど、無我夢中で腰を振る牛尾のことが可愛く感じられて……鹿住も牛尾の背中を必死に抱き寄せた。
「────ッあ、ああ……ッ!!」
きつく抱き締めあったまま、二人同時に快楽の頂点に達した。
びくびくと腰を震わせて、牛尾は全てを鹿住の奥へと注ぎきった。鹿住は牛尾の腹に自身を擦り付けながら、イってしまった。
汗と唾液と精液でぐちゃぐちゃの二人は、荒い息のまま、生ぬるいフローリングに横たわった。
「……俺ら、付き合う?」
息が落ち着いた頃、牛尾がぽつりと尋ねた。
「……付き合うって、どうなんの? 牛尾?」
「映画観て飯食ったりとか……一緒にいようぜ。かすみ。」
「今までと一緒じゃね?」
「これからはエッチもするだろ」
「…………………うん」
熱帯夜のせいでおかしくなってるのかもしれない。一瞬の熱に流されただけかもしれない。
だけど、ぐちゃぐちゃになるまで抱き合ったことに後悔はなく、互いにもっと欲しいくらいだった。
「シャワー行こ。かすみ」
牛尾は鹿住の手を引いて起こした。
汗を洗い流して、セックスの後を洗い流しても、お互いの気持ちは変わらないだろうという自信はある。
もし仮に鹿住が正気を取り戻したとしても、再び口説き落とすくらいには……
「好きだよ。かすみ」
ヘロヘロになって歩けない鹿住を抱き上げて、はにかんだ笑顔で牛尾は告げた。そんな顔も可愛いと鹿住の胸はキュンとしてしまった。
シャワールームで二人は、今更ながら照れ笑いしつつ、お互いの体を洗うという恋人同士のアフターセックスを楽しんだ。
……フローリングに上のバニラアイスは完全に溶けきっていた。
end
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