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牛尾の場合
牛尾が鹿住に興味を持ったのは半年前。
第一印象は「ガリで白い奴」だった。
あと、何故かよく目が合う。
なんとなく話しかけてみると、以外にも気が合うやつだった。好きな映画のタイプが同じで、一緒にいると面白いし、しょっちゅう連むようになった。
子猫がゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってくるみたいで、「牛尾、牛尾」と、自分に懐いてくる鹿住が可愛いかった。
あっさりとした整った鹿住の顔を「よくよく見れば、サブカル系の映画女優に似てるんだよな。好みの顔なんだよなぁ。コイツが女だったら好きになったかもなぁ」などと、思うようになった。
それからだ。妙に意識してしまうようになったのは。
(くそッ! まただ )
鹿住がバニラバーをしゃぶりながら、牛尾に流し目を寄越している。
まるで自分のモノをフェラチオされるのを想像してしまう自分に自己嫌悪だ。
(だって、エロいんだよ! コイツ!!)
この夏の酷い暑さのせいか、ここ数日、牛尾は鹿住に性的なことを致してしまう夢に悩まされていた。
「あ───! 牛尾! なんか拭くもん!」
悶々と考え込んでいたら、鹿住がアイスをこぼしたと叫んだ。鹿住の着ていた黒いTシャツに溶けた白いバニラアイスが垂れて、なんだかもう、まさにアレのようで酷く卑猥だった。
(やっべぇ! エッロ)
「……脱いじまえ」
とゆうか、脱がせてしまおうと汚れたTシャツに手をかけたら鹿住が抵抗した。
ムキになって強引にTシャツを引っ張ったら、もみ合いになり、鹿住を押し倒す形でフローリングに倒れてしまった。
「ごめん」と謝ろうと上体を起こして、自分の体の下にいる鹿住を見下ろして言葉を失う。
鹿住の髪も肌も汗でしっとりと湿っていて、少し頬が上気している。
「牛尾?」
「……かすみ」
ベタつく肌。滴る汗。
亜熱帯のようなワンルーム。
生ぬるい扇風機の風。
鹿住の顔は暑さで気だるげで、薄く唇を開いた顔は───まるで、セックスの後のようだ。
なんだかもうどうでもよくなってしまった牛尾は、ゆっくりと鹿住に覆い被さった。
牛尾の汗が鹿住の肌に滴る。
それから、一線を越えるように鹿住にキスをした。
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