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第40話 死してもなお…

……いま、何日目なんだろう…… 窓の外が明るくなって、暗くなって…… それが何度繰り返されたのか……解らない。 僕の感覚とは全く異なる、時間の経過。 死しても尚、人形相手に飯事のような一人遊びを続ける教師の異常な行為に……頭がおかしくなる。 「……ただいま、光」 「……」 「いい子にしていたかい?」 暑さで腐敗する白川の死体に寄り添い、優しく何度も髪を撫でる──溝口啓造。 先生は、僕が小学5年生の頃に転校してきてからずっと……何かと気に掛けてくれる、優しい先生だった。 あの頃の僕は無口で。誰とも関われなくて。何処にも、居場所がなくて。 だから。先生の優しさに触れて、救われたような思いでいたのに── 「……暑く、ないかな」 「……」 「明日はもっと、保冷剤を持ってきてあげるね」 穏やかな声でそう話し掛けた後、何度も深いキスを重ねる。 やがて自身も服を脱ぎ、既に魂の抜け殻と化した身体を舐め回した後、まだ精液の残る後孔に勃起したソレを突っ込む。 「………ぁあ″………君のナカ……トロトロとして、気持ちいいよ……」 「……」 「光もかい?」 ズ、ズチュ……、グヂュ…… 閉じたきり二度と開かない瞼に唇を寄せ、溝口がそっと口付けをする。 「……、!」 その行為に顔を背け、目を閉じ両耳を塞ぐ。 胃から熱いものが迫り上がり、我慢出来ずに吐き出してしまった。 「……」 裏切られた悲しさと悔しさと、気持ち悪さで……精神(こころ)が侵されそうになる。 こんな事が、いつまで続くんだ。 一体いつになったら、僕はこの地獄から解放される──? 「……はぁ、光……そろそろ、イくよ……、!」 先生の絶頂を迎える卑しい声と、不貞行為の激しい水音。 それに……酷い腐敗臭。 ………ぅ、う″ぇェ…… 床に顔を伏せ、背中を丸め、何度も何度も嗚咽する。 ハァ、ハァ、ハァ…… 苦痛と疲弊でグッタリとした身体を横に倒すと、ぼんやりと窓を見つめた。 「……」 窓から射し込む月明かりに照らされた、横たわる白川の肢体。 そのラインが蒼白く光り、より一層肌を白くさせ輝いて見える。 何故か不思議と、綺麗だと思った。 『……ほら、言った通り……犯行の順番が逆だったでしょ』──田んぼのあぜ道で押し倒した時の、あの妖艶な白川が蘇り……灰色の瞳を僕に向け、そう訴えかけているような錯覚に陥る。 「……」 それはとてもおかしい事だと、頭の隅で警鐘を鳴らしているのに。 何故か……目が離せない。

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