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第2話 Jazz Morgan

「ちょっと、外に出ようよ」 「え、練習は?」 「今日は何回やってもどうせ同じだよ」  僕は突発的にサラを喫茶店に誘った。父さんが家にいると、何となくそわそわして居心地が悪い。  最寄駅の外れにある古びた喫茶店。昼間だったらきっと気づかない。 古びた茶色の看板にはJazz Morganの文字がかすれている。 高校生ではまず目も引かないところだけど、今日はサラもいるし。 お金もサラが出してくれる。とりあえず家じゃないどこかへ行きたい。    カランカラン――。  防音のためか重くて固くなったドアを押すとドアについている鈴が派手に鳴る。 窓もない店内は薄暗く五つのテーブル席とカウンター席。 圧迫感のある店の雰囲気と立ち込める煙草とコーヒーの匂い。 薄暗いオレンジの照明と各テーブルに明るい照明が設置されており、自分の手元にスポットライトが当てられているようで思わず鍵盤を叩く真似をした。 店内から流れる音楽はジャズのみ。その大人な雰囲気に座ってからも落ち着かなかった。 「こんばんは。ご注文はお決まりかな?」  体格のいい白髪交じりの髭をたくわえたおじいさんが笑顔で迎えてくれた。 よく見ると日本人じゃなさそう。 スポットライトが反射して皺に食い込んだ優しそうな瞳が茶色と灰色がかった色をしている。 コーヒーと紅茶を頼むと窓もない店内を見渡した。 まるで古本屋のように壁一面にジャンルを問わない本が並んでいる。 男性客が一人入ってくると、店員のおじいさんと楽しそうに話していた。 顔見知りの客が集まりそうなマニアックな喫茶店だな。 沈黙を気遣うようにジャズがテンポよく店内を満たしてくれる。 しばらく経つとコーヒーのほろ苦い香りが漂い始めた。

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