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第5話 ペルソナの能力

 カランカラン――。 「ねえマスター、隼人さんってどんな人?」  僕は学校帰りにほぼ毎日この喫茶店に寄りマスターの手伝いをするようになっていた。 「どうしたんだ急に。隼人と喧嘩でもしたのか」  僕が洗い終わったコーヒーカップをマスターは綿のタオルで必要以上に磨いている。 「何を考えてる分からないし、ピアノも全然教える気がないみたいだし」 「ははは。ちゃんと練習禁止を守ってるんだな」  この二人は何を血迷ったのか、「ジャズは即興がいい」とのことで本番まで僕にピアノの練習を一切禁止した。 「こっそり練習しちゃおうかな」  僕はマスターから借りたCDとこの店に流れるジャズを耳で覚えるしかなかった。 「隼人には嘘をつかない方いい。ついてもすぐバレるぞ」  マスターは几帳面にそのままタオル越しにカップを棚に戻した。 僕はマスターを見る。 「何か、あったんですか?」  次のカップに伸びる手を止め、マスターが「まあね」とから笑いをした。 気になった僕はさらにマスターを見つめ続けると、マスターは観念したかのようにため息をつき、話し始めた。

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