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第8話 二枚のチケット

学校は気がつけば冬休みに入っていた。 僕の頭はクリスマスセッションでいっぱいなので、テストもない高二のこの時期は中弛み真っ只中である。 ピアノが弾けない現状にフラストレーションが溜まり、いつもどこかイライラしていた。 マスターから借りたCDを聞くたび机を鍵盤代わりに撫でた。 「制服着てどこ行くのよ?もう学校休みでしょ?」 家にいてもどうにもそわそわしていた僕にサラが台所で尋ねてきた。 相変わらず用もないのに当たり前のように我が家にいる。 「学校。音楽室借りてくる」 「あら?練習禁止なんじゃ無いの?」 玄関に向かうはずの僕は驚愕した。 「何で知ってるの?」 サラには話してないはず。 「橘さんがちゃんと説明して下さったのよ。自分のアパートに泊まらせているって住所まで頂いたわ」 「えっ?そうだったの」 子供扱いされている気がして恥ずかしくなった。 どおりで外泊してもしつこく追求されないわけだ。 まあ、外泊なんて学校行事以外で無かったことだけど。 「それで、何か私にして欲しいことはないの?」  サラが得意げにそう言った。 全てお見通しのように。

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