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chapter 04 [purpose]
そしてその日から、僕はセロンの夢じゃなくて、また違う夢を見るようになった。
違う夢っていうのは、壁から伸びてきた色白の手から逃げる夢や、眠っている僕を女の人がじっと見下ろしてくる夢。
これは夢。でもきっと夢じゃない。だってここは幽霊屋敷。そういうものがいてもおかしくはない。セロンがどういう人なのかは判らないけれど、それでも彼が普通の人間じゃないっていうことは何となく判る。だって僕は夢の中で彼に会った。それも一度だけじゃなく、何度も。
もしかするとセロンは悪魔なのかもしれない。
だけど、それでもいい。セロンが何者だろうと関係ない。だって優しく接してくれたのは彼だけだった。一緒にいて楽しいと思えるのも、心が落ち着くのも彼だけだ。
たとえ彼の目的が、僕の命だとしても――。
だって僕は母親殺しの大罪人。殺されて当然の人間なのだから。
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