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chapter 04 [yes or no]

 少なくとも村長さんからはそう聞いている。だから気易く呼べないと口を開いた瞬間だった。 「っふ……」  急に息苦しくなったかと思えば、僕の口が弾力のある何かに塞がれた。それがご主人様の唇だって判ったのは、離れる時に聞き慣れないリップ音がしたから。  恥ずかしい。視線を外したいのに骨張った親指に顎を掬われてしまう。 「ぼくはセロン。そして君はぼくの話し相手だ。いいね?」 「……は、い」  オリーブの目が僕を射貫き、念を押される。だけど突然の行為で僕の頭は真っ白だ。何を言われたのか判らない。僕はコクンと頷いた。  同性でキスなんておかしい。そう思うのに、触れた唇は熱が生まれ、やがて全身へ行き渡る。  彼が夢の中で抱きしめてくれた人だからなのかな。わからない。でもたしかに判るのは、キスが嫌じゃないっていうこと。  その日、僕はご主人様――じゃなかった。セロンのお膝で、『もう食べられない』って言うまでたくさんの美味しい夕食をいただいたんだ。

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