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chapter 05 [a library]

 そんなある日のことだ。僕は聞いてしまったんだ。  セロンの話し声を、三階の書斎で――。  正直いうと、最近見るようになった夢は怖い。きちんと寝付けなくなっていて、目の下にはクマができた。それを知ったセロンは落ち着いて眠れるようにミルクを用意してくれるんだけれど、やっぱり眠るのが怖くて、こうしてお屋敷の中をウロウロするんだ。 「ウィルはまだこちらの世界には来られない。」  話の内容からして、僕はきっと近いうちに魂を抜かれてしまうんだろう。こういう日が来るとなんとなく判っていた。だってセロンは幽霊屋敷の主人なんだから。夢の中に出てくる白い手や女の人はきっと彼が仕向けたものだ。僕を……精神的に追い詰めるために。  だったら優しくしなければよかったのに……。  ああ、でもそれこそが彼の策略なのかもしれない。現実と夢の中の立場が違えば違うほど、恐怖はずっと大きくなるから……。

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