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幸せなひととき

「大好き」 涼太の真摯な思いが、俺の心の中に染み渡る。 昨日まで、こんなのも、互いを慈しみ合い、求めあう関係になるとは思いもしなかった。 だからこそ、愛しさも倍で。 「あぁ、俺も・・・」 「ねぇ、真生・・・一緒にくらそ」 大きく頷くと、すごく嬉しそうに微笑んでくれた。 「涼太!ネコって、絶対嘘だろ!」 硬度を保ったまま、緩やかに抽送が再開され、俺の叫びも、重なってきた涼太の口唇に飲み込まれていった。 恋人の腕の中、逞しい胸に頬を擦り寄せて微睡んでいた。 まさに至福のひと時。 「真生、寒くない?」 毛布を掛け直してくれる恋人の手は温かい。 出来る事なら、全部忘れて、ずっと、彼に抱き締めて欲しい。側にいたい。 でも、現実は・・・。 「パパ、おしっこ」 隣の布団で寝ている蓮がもぞもぞし始めた。 「待ってろ!少し、我慢な」 起きようとした矢先、体に激痛が走った。 「あ”~痛っ!」 昨夜、酷使した腰から下の痛みが半端なく、布団に突っ伏した。 「無理させてごめんね」 隣で、涼太がくすくす笑いながら、よっこらしょと起き上がった。 「りょうにいに、はだか!」 寝起きの悪い蓮が、驚きのあまり、一発で目が覚めた。 「パパも!?なんで!?」 「何でだろうね。ほら、トイレに急げーー!」 蓮の何で攻撃が始まる前に、下着を素早く身に着け、涼太が蓮の後を追っかけた。 「真生、服だけど、押し入れの中に入っているの、適当に着ていいからね」 トイレから戻って来た時、涼太は既に着替えを済ませていた。 彼の普段着は、ジーパンと、Tシャツと、上に羽織る淡い色シャツ。ラフな格好も、なかなか格好いい。ぼっおーとして、見惚れているうちに、蓮の着替えまでしてくれた。

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