ルートの確認をしてフェリーを手配。最近遠出をしていなかったから乗る機会が少なかったバイクで行くことにした。愛しのドラックスターはテキサスの一本道を走る姿が似合う。北海道の一本道でもばっちり決まるだろう。 　宮崎港からフェリーで神戸へ。舞鶴までバイクを走らせ苫小牧行きのフェリーに乗船。バイクでの日本縦断は暑いし長時間の運転は過酷。やり遂げられる気がしない。 　苫小牧から白井タウンまでの道は右側に太平洋、左側に山、その間の一本道が延々続いた。空は薄い水色。海はうっすら緑がかった茶色で綺麗というより厳しい印象。 　モコモコ木が茂る山の斜面と道路の間に続くのは牧場だ。サラブレッドがゆったり草を食んでいる。こんな間近にサラブレッドがウヨウヨしていることにビックリした。 そして何より驚きなのは寒いってこと。ドラッグスターが切る風が容赦なく俺の身体から体温を奪っていく。寒い！北海道をナメていた！ 　突然海の様子が不穏なものに変わった。白いモアっとしたものが海の表面を覆うと山に向かってくる。化け物がズルリと這いあがってくる映像みたいで気味が悪い。 あっと言う間に辺り一面白い霧に覆われてしまった。緑の山はベールがかかったように靄に覆われ、視界は５０ｍ以下。 　こんな状況なのに車はライトを点けて８０キロ近いスピードで走りまくっている。怖い！怖い！怖い！ 　霧は散ることなく重さを増すばかり。同時に一気に気温が下がった。まとわりつく湿った空気で頬が冷たい！痛い！寒い！ 　……北海道をナメていた。