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6月9日~先手必勝⑤~

「本当に良いの?」 「良いって言ってんだろ……、あんたがやらないなら、俺が……」  森岡の昂ぶりがさっきから下腹(かふく)に当たって、それをいつ入れてもらえるのかとうずうずしていたところだ。奥手な彼に代って、紫苑がその楔の上に後ろ手で手を添えながら腰を下ろしていく。 「んぅ…っ」  それが入り口に触れると、紫苑の口から期待に満ちた声が漏れる。  だが先端を少し呑み込んだところで腰が止まってしまった。 (お、思ったより……でかい…)  昨夜の口淫でもそれは感じていたが、実際に身体を繋げるとなると彼の圧倒的な質量におののいてしまう。  それでも紫苑は、(ひる)む身体を叱咤して森岡の昂ぶりを受け容れていく。 「ぁ、く……ん…んぅう…は、ぁ…」 「ごめん…大丈夫、紫苑くん?」 「な…んで、あんたが謝んだよ……ッあ」 「だって、苦しいだろ?」 「くるしい…けど……俺が好きでやってんだ。…あんたに、俺の中……入ってきて…ほし、ぃから――ゃ、あ!」  紫苑の言葉に一際欲望を大きくさせた森岡に腰を掴まれたかと思うと、最奥に鋭い痛みと快感が走る。  まだ彼の大きさに慣れていなかったのに、一気に根元まで呑み込まされてしまったからだ。  挿入の衝撃で、息をするのも忘れたように、はくはくと口を開けたり閉じたりを繰り返す。  そんな紫苑の耳元で、森岡が困ったような声音で尋ねてきた。 「痛い?」 「すこしだけ……それより、あんたのが…大きくて、苦しい……」 「なら()める?」  紫苑はそれには答えずに、ただ首を大きく横に振る。 「そう……紫苑くんの中、すごく熱い。俺も我慢が効かなくなりそう」 「いいよ……あんたの、好きにしろ」 「言ったね」 「――っぅあ、ぁァあぁ! ん、ゃ、はげし…ふぁ、ああぁ」  紫苑の細い腰をがっちりと掴んだ森岡は、最初から上下に激しく揺さぶり、その太くて硬い剛直で内壁を余すところなく刺激してきた。  彼のものは今まで経験したどの男よりも体内での存在感がある。  まだ誰にも触れられたことのない奥深くまで抉られて、紫苑は苦痛と紙一重の快感に身悶えた。 「ぁぐ、ぅうあぁあッ、や…やぁああぁ」  背中を仰け反らせて喘ぐ紫苑の眼から、堪えきれなかった涙が一筋、頬を伝っていく。 「しおん、くん……」 「あっ、ふ――ん、んんぅ……」  彼が後頭部に手を添えてくる。それに気を取られている間に唇を奪われていた。  自分から仕掛けたものが子供騙しに思えるくらい、激しくて濃厚なキス。  痛いくらいに舌を吸われ、呼吸すら呑み込まれてしまいそうだ。 

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